【平成17年6月17日「さまざまな所得控除(1)」】
■さまざまな所得控除(1)
今月のテーマ「離婚と税金」とは少し内容が離れますが、所得税を計算する際には、さまざまな所得控除があります。今まで見てきたものでも、社会保険料控除、医療費控除、扶養控除、配偶者控除、生命保険控除、などがあげられます。この他にも、雑損控除、小規模企業共済等掛金控除、寄付金控除、寡婦(夫)控除、勤労学生控除、配偶者特別控除、基礎控除といった所得控除があります。今週と来週は、そのいくつかを見てみましょう。
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配偶者控除
自己の妻又は夫でその年12月31日(年の中途で死亡した人についてはその死亡の日)現在で生計を一にする人(青色事業専従者給与の支払いを受ける人及び白色事業専従者は除かれます)で、その年中の合計所得金額が38万円以下の人(控除対象配偶者といいます)については、配偶者控除の適用があります。配偶者控除の金額は、以下のようになっています 。
控除対象配偶者の区分
控 除 額
同居特別障害者である人
同居特別障害者以外の人
一般の控除対象配偶者
(下記以外の控除対象配偶者)
73万円
38万円
老人控除対象配偶者
83万円
48万円
たとえば、年の中途で離婚した場合には、その年12月31日現在で生計を一にする配偶者がいないことになりますから、配偶者控除の適用はないことになります。ただし、離婚した年にすぐ再婚した場合で、再婚相手の合計所得金額が38万円以下であれば、その再婚相手が控除対象配偶者となります。
また、年の中途で配偶者が死亡し、その年に再婚した場合には、死亡した配偶者と再婚した配偶者の両方について配偶者控除を受けることはできません。どちらか一人を選択することになります。この場合、再婚した配偶者を控除対象配偶者として選択すれば、死亡した配偶者を他の納税者の扶養親族とすることができますが、死亡した配偶者を控除対象配偶者とした場合は、再婚した配偶者を他の納税者の扶養親族とすることはできません。
・障害者控除
納税者本人が障害者である場合や、扶養親族や控除対象配偶者が障害者のときは、障害者控除が受けられます。この障害者控除は、一般の障害者が27万円、特別障害者が40万円です。
障害者控除を受けるためには、一定の要件に当てはまっていることが必要です。その要件は、次のようなものです。
心神喪失の常況にある人
児童相談所、精神保健福祉センター、知的障害者更生相談所、精神保健指定医によって知的障害者とされた人
精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている人
身体障害者手帳の交付を受けている人
戦傷病者手帳の交付を受けている人
精神や身体に障害のある年齢が65歳以上の人で、市町村長に精神または身体に障害があると認定されている人
厚生大臣の認定を受けている原子爆弾被爆者
常に寝たきりの状態で、複雑な介護を受けている人
また、特別障害者とは、障害者のうち、精神や身体に重度の障害がある人で、次のような人です。
障害者で、1.または2.の人で、重度と判定された人
3.の人で、障害等級が1級の人
身体障害者手帳に障害の程度が1級または2級と記載されている人
戦傷病者手帳に記載されている障害の程度が、特別項症から第3項症までの人
7.と8.の人
6.の人で、重度の障害があると認定されている人
ケースとして多いのは、寝たきりのお年寄りで、複雑な介護を受けている人、身体障害者手帳の交付を受けている人でしょう。寝たきりのお年寄りと、身体障害者手帳が1級または2級の人は、特別障害者、身体障害者手帳が3級以上の人は、障害者、ということになります。
さらに、扶養している子供や配偶者が特別障害者の場合、扶養控除や配偶者控除が35万円増額されます。たとえば、子供が特別障害者である場合、一般の扶養親族の扶養控除は38万円ですが、同居特別障害者であれば、73万円になります。つまり、扶養控除の73万円と、特別障害者控除の40万円の両方が受けられるわけです。もし、子供が特別障害者ではなく、障害者であれば、扶養控除の38万円と、障害者控除の27万円の控除が受けられます。
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