■負担付贈与と低額譲渡
1.負担付贈与
負担付贈与とは、たとえば、親が子供に住宅ローンの残債務などの借金をつけて住宅を贈与するなど、受贈者に債務を負担させて財産の贈与をすることをいいます。この負担付贈与を行った場合、贈与を受けた財産の価額から負担すべき債務の金額を差し引いた金額の贈与があったものとして取り扱われます。つまり、
実質的に贈与された金額
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(基礎控除)
110万円 |
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× |
贈与税の税率 |
= |
贈与税 |
で計算されます。
この場合、贈与を受けた財産の価額をどうやって計算するかは、次のようにその財産の種類によって評価のしかたが違います。
(1)贈与を受けた財産が土地や建物のような不動産であるとき?通常の取引価額
(ただし、贈与者の取得価額と開きがないときには、取得価額でもよい)
(2)贈与を受けた財産が上場株式であるとき?贈与があった日の終値(または取引価格)
(3)贈与を受けた財産がこれらのもの以外の財産であるとき?通常の相続税評価額
たとえば、時価3,000万円の自宅を子供に1,000万円の住宅ローンつきで贈与した場合には、2,000万円について贈与があったものとみなされます。
2.低額譲渡
低額譲渡とは、その財産の価額より著しく低い価額で譲渡した場合のことをいいます。このような場合には、その財産の価額と実際に支払った金額との差額について贈与があったものとされます。
実質的に贈与された金額
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- |
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- |
(基礎控除)
110万円 |
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× |
贈与税の税率 |
= |
贈与税 |
たとえば、親が子供に時価3,000万円の自宅を1,000万円で譲渡した場合には、2,000万円について親から子供に贈与があったものとみなされます。譲渡された財産の価額をどうやって計算するかは、上記の負担付贈与の場合と同じです。
3.贈与者・譲渡者の課税
負担付贈与をした贈与者(親)は、その負担させた債務の金額でその財産を売ったことになりますから、譲渡益がでていれば、譲渡所得として所得税や住民税がかかります。低額譲渡をした譲渡者(親)も、実際に受け取った金額で譲渡したことになり、譲渡益に対して税金がかかります。
ですが、逆に譲渡損がでる場合には、債務の負担額あるいは実際に受け取った金額がその財産の時価の2分の1以上であれば、その譲渡損は他の譲渡所得と通算できます。時価の2分の1未満であれば、その譲渡損はなかったものとみなされ、譲渡所得の中でも通算できません。この場合、財産を取得した人(子供)が、贈与者あるいは譲渡者(親)の取得価額と取得時期を引き継ぎます。
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