【平成17年10月7日「
株式の譲渡に対する課税」】
今月のテーマは、「金融商品と税金」です。最近は、さまざまな金融商品が登場し、それぞれの商品の特徴や内容を理解するのはとても大変です。ましてや、それぞれの商品に対する課税方法まで理解するのは大変な労力を要します。低金利時代に、少しでも有利な商品を、と思ってもどうやってどんな基準で商品を選んだらいいのか、本当に迷います。
株式に対する課税も、ここのところの株価低迷で、市場活性化あるいは景気浮揚のため、いろいろな改正がされました。期限つきの優遇措置がいくつか講じられていますので、その恩恵にあずかるためにも、どんな改正がされたのか知る必要があります。そこで、今月は株式に対する課税にしぼって、見ていくことにしましょう。
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株式の譲渡に対する課税
株式の譲渡益に対する課税は、平成15年1月1日以後、申告分離課税に一本化されました。この申告分離課税は、譲渡益の26%(所得税20%+住民税6%)が課税されます。ただし、上場株式等を証券会社等を通じて譲渡した場合には、平成19年12月31日までの譲渡について、10%(所得税7%住民税3%)に軽減されています。
株式を譲渡した場合には、確定申告が必要になります。1年間に行なった株式の譲渡すべてについて譲渡損益を計算し、譲渡益がでているものと譲渡損かでているものがあれば、益と損を相殺して申告します。相殺してもなお損失があっても、それは他の所得とは相殺できません。
たとえば、A株式の譲渡益が30万円
B株式の譲渡損が20万円
だったとしますと、(30万円-20万円)×26%=26,000円の税金がかかります。
(ただし、上場株式の場合には、(30万円-20万円)×10%=1万円です)
この譲渡損益の計算は、
譲渡代金-(取得費+委託手数料+消費税等+借入金利、その他の費用)=譲渡損益
で計算されます。ですから、その株式をいくらで取得したのかがわかる書類(取引報告書等)が必要になります。証券会社から送られてきた書類は大切にとっておきましょう。
■上場株式等の譲渡損失
平成15年1月1日以後の株式の譲渡について、譲渡損失が3年間繰り越すことができるようになりました。つまり、年間を通じた株式の譲渡損益を通算した結果、証券会社等を通じて譲渡した上場株式等の譲渡損失が残った場合には、その譲渡損失を翌年以降3年間の各年分の株式等の譲渡所得から控除することができます。
この規定の適用を受けるためには、損失が生じた年以後の年に株式等の譲渡がなくても、繰り越される譲渡損失の金額について、確定申告書を提出しなければなりません。
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