【平成17年11月4日「給与所得となるものならないもの」】
今月のテーマは、「サラリーマンと税金・年末調整」です。サラリーマンといえば、給与や賞与が主な収入です。その給与に対する課税、年末調整のしくみについて、ちょっとくわしくみてみましょう。
■給与所得となるものならないもの
では、まず初めに、所得税でいう給与所得とは、どのような所得をいうのかを確認しておきましょう。給与所得とは、俸給、給料、賃金、歳費及び賞与並びにこれらの性質を有する給与に係る所得をいいます。基本的には、雇用契約またはこれに類する関係に基づいて、非独立的に提供される人的役務の対価としての報酬もしくはこれに準ずる給付ともいえます。
ですから、会社や個人の事業主から毎月支払われる給料や、夏期・冬期の賞与は、もちろん、給与所得となります。
給与所得と紛らわしいものには、次のようなものがありますが、これらは、給与所得には該当しません。なぜなら、その勤務先の役員や使用人としての地位に基づき支払われるものではないからです。これらの所得は、事業所得の収入金額となります。
弁護士、税理士等が顧問先の会社などから受け取る顧問料や決算報酬
プロ野球の選手や競馬の騎手、プロゴルファー、プロレスラー、プロボクサー等が支払を受ける報酬(各種の手当や契約金、賞金も含まれます。)。プロ野球も冬には契約更改が行われますが、そこで決められた年俸は、事業所得となるわけです。日本シリーズに勝って、勝ったチームの選手にボーナスが支給されても、やはり、事業所得です。
外交員、集金人、芸能人が会社などの使用人としての地位に基づかないで支払を受ける報酬又は料金(外交員や集金人が固定給と出来高給を両方もらうときには、固定給は給与所得となります。ですから、たとえばガス料金の集金を行う人のような場合、出来高給は給与所得とはなりませんし、生命保険の外交員がとった契約の額によって支払われる部分の金額は、やはり、給与所得とはなりません。)
では、出来高払いの給与か、請負の報酬(事業所得等)となるのかの判断は、どうやってするのでしょうか。それは、雇用関係によるものかどうかを個々の実情に照らして判断することになりますが、だいたい、次のような基準で判断します。
契約の内容が他人の代替を容れないものかどうか。つまり、給与であれば、契約をした本人と違った人が仕事場にきても用をなしませんが、請負であれば、その事業所の誰かがきて仕事をすればことはすみます。
仕事の遂行に当たり、個々の作業について指揮監督を受けるかどうか。
まだ引渡しを終えない完成品が不可抗力のために滅失した場合に、所得者が権利として報酬を請求することができるかどうか。たとえば、家を建築し、完成したところで引き渡し前に台風がきてその家が全壊してしまったような場合、その家を建てた大工さんに雇われている人はその労働の対価としての給料をもらえますが、請負で家を建てた大工さんは、建築代金を施主からもらうことができません。
所得者に材料が提供されているかどうか。
作業用具を供与されているかどうか。普通、事務職の人が会社に行って仕事をするのに、ボールペンや消しゴムは会社にあるものを使います。それと同じように、土木作業をする会社に雇われている人は、会社が所有する機械で作業をします。いっぽう、同じ現場で作業をするのでも、請けで作業をする人は、自分で用意した機械を現場に運び込んで作業をします。
このように、給与所得となるかどうか、紛らわしいものもありますが、普通にお勤めをしていれば、もらう給料や賞与は給与所得となります。
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