朝倉令子税理士事務所
事務所案内 業務案内 相続対策遺産整理 料金について セミナー情報 拝啓社長殿 HOME
最新情報
最新情報

贈与により取得したゴルフ会員権の名義書換料


平成17年2月14日

 今年も確定申告の時期となりました。そこで、今回は、贈与により取得したゴルフ会員権を売却した方に朗報とも言える最新判例のご紹介です。
  昨年の段階では、平成17年からゴルフ会員権の譲渡損が損益通算できなくなるのではないかとの見方があり、損益通算のできる昨年のうちに会員権を売却して損を出してしまおう、という方も多かったのではないでしょうか。しかし、結局、平成17年度の税制改正では見送られました。
  そんな中、平成17年2月1日最高裁の判決で、贈与により取得したゴルフ会員権の名義書換料がその会員権の取得費に当たるとする判決がありました。つまり、贈与により取得したゴルフ会員権の譲渡所得の計算上、その贈与による名義書換料がそのゴルフ会員権の取得費に該当し、譲渡所得の計算上控除できるというわけです。
  その判決の内容は以下のとおりです。Aさんは、平成5年7月に父からゴルフ会員権の贈与を受けました。このゴルフ会員権は、父が昭和63年11月に1,200万円で取得したもので、Aさんは、贈与を受けた際に名義書換料82万4千円を支払いました。その後、Aさんは、その会員権を平成9年4月に100万円で売却し、その売却による所得金額の計算において、名義書換料82万4千円をそのゴルフ会員権の取得費として申告していましたが、税務署が認めず、裁判となったものです。
  まず、ここで注意していただきたい点は、贈与(相続(限定承認に係るものを除きます)遺贈(包括遺贈のうち限定承認に係るものを除きます)も同じ取扱いです。)により取得した資産の取得価額と取得時期は、贈与者の取得価額と取得時期を引き継ぐ、ということです。Aさんは、そのゴルフ会員権を父から贈与を受けて取得したわけですから、Aさんの譲渡所得の計算上、取得価額は父の取得価額である1,200万円、取得時期は父の取得時期である昭和63年11月が引き継がれているわけです。ですから、このゴルフ会員権の譲渡による所得は、総合課税の長期譲渡所得となり、1,200万円で取得した会員権を100万円で譲渡したわけですから、この段階で1,100万円の譲渡損が発生しています。
  さらに、Aさんは、父から贈与を受けた際に業者に支払った名義書換料をそのゴルフ会員権の取得に要した費用として申告したわけですが、従来の考え方では、こういった名義書換料はゴルフ会員権の保有期間の途中に生じた費用であるから、その資産の維持管理上の費用であって、譲渡所得の計算上控除できる費用には該当しないという取扱いがなされてきました。しかし、今回の判決では、そのゴルフ会員権の譲渡について、Aが支払った名義書換料をそのゴルフ会員権を取得するための付随費用であるとして、譲渡所得の計算上控除することを認めました。
  従来の実務の取扱いでは名義書換料といった費用は、その資産の維持管理上の費用として譲渡所得の計算上取得費として控除する取扱いがなされていなかったため、この判決は大きな意味を持っているのではないでしょうか。 過去に控除しないで申告した場合にも、平成11年申告分まで還付が受けられる可能性があります。国税庁HPにも詳細が掲載されています。(http://www.nta.go.jp/category/shinkoku/data/h17/3007/01.pdf

(税理士 朝倉 令子)

トピックスINDEX home pagetop
Copyright © 2015- Asakura Reiko Tax Accountant Office. All Rights Reserved.