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■「中小企業の会計に関する指針」公開草案について その1■ |
平成17年6月21日のトピックスでお伝えしましたように、日本税理士会連合会、日本公認会計士協会、日本商工会議所、企業会計基準委員会等で構成する「「中小企業の会計」の統合に向けた検討委員会」は、平成17年6月13日、「中小企業の会計に関する指針」の公開草案を公表しました。今回は、2回にわたってその概要をお伝えします。
この指針は、中小企業が計算書類の作成に当たり、拠ることが望ましい会計基準を示すもので、新「会社法」で導入が予定されている「会計参与」が準拠すべき指針となりそうです。この「指針」の適用対象となる会社は、証券取引法適用会社や商法特例法の大会社とその子会社等以外の株式会社とされています(有限会社等については推奨)。
7月8日までパブリック・コメントを募集し、8月には確定版が公表される予定です。なお、この草案は、現行の商法を元に作成されていますので、新「会社法」の施行、あるいはその後の改正等の際には、それぞれのタイミングで更新していくとしています。
■あくまでも「拠ることが望ましい会計基準」
草案では、基本的な考え方として、「取引の内容が同じであるならば、会社の規模に関係なく同じ会計基準が適用されるべきである」が、上場企業等と違って、投資家そのものが少ない中小企業にまで上場企業等と同じ会計基準を一律に適用するのは適当ではないとし、中小企業の実態に沿った会計処理のあり方を示すことが目的であるとしています。ですから、中小企業の計算書類が、法人税の申告のために作成する計算書類、あるいは、会社経営の指針とするために活用する計算書類、といった使われ方をすることを考慮に入れて、「拠ることが望ましい会計処理のあり方」を示すことが目的であるというスタンスです。
こういったことから、会計監査を受けなければならないような上場企業等向けの「会計基準」を基本としつつも、税法で規定されている処理を各所に取り入れています。計算書類の作成にそんなに手間もコストもかけられない中小企業の実態を考慮したということでしょうか、ある程度簡便的な会計処理や税法の規定による処理の適用を盛り込んだものとなっています。
たとえば、固定資産の減価償却費の計算や、貸倒引当金の計上基準等では、法人税法の規定による方法で費用計上する額の計算を行うことができるとされています。有価証券についても、税法上の規定による区分の方法を認めています。
具体的な内容は、次回にご紹介します。 |
(税理士 朝倉 令子) |
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